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2014年4月9日、小保方春子氏が記者会見「その2」。@で取り上げたRS(リバース・スピーチ)は質疑応答の最初の数十分間において現れたものだった。
RSは、用意した原稿を読み上げる時よりも、質疑応答時のように、どんな会話になるのかわからない状況での方が、感情が入るために現れやすい。
そのため、RS分析を行うにあたって、いきなり質疑応答部分から始めた。
しかし、2時間半に及んだ記者会見を一通り聞いてみたところ、最初のスピーチから、RSが比較的多く含まれていたことが判明した。
事実、原稿が用意されていたとはいえ、最初に謝罪を口にした際、小保方氏は涙を浮かべ、声を震わせる場面があった。
そんな際は、RSは現れやすい。一部ではあるが、RSを紹介していくことにする。
〇小保方氏は謝罪を行うにあたり、「論文にたくさんの疑義が生じていまい」(02:32)
(mp3)
と発言したが、その裏で、
【いや、むしろ先に向かった(キメモン?)】
(mp3)
というRSが含まれていた。
〓分析コメント〓
最後の「キメモン」と記した個所は、音声が不明瞭でわからず、そのように聞こえたという程度のものである。
このRSの解釈は難しいが、『ネイチャー』に投稿された論文は、十分に検証されたあとの論文というよりは、途中段階を報告したような論文で、
既に小保方氏の関心はその先に予定していた追加・補足的な論文の方に向かっていて、検証が不足していたことが推察される。
〇 同じく、小保方氏は、論文をまとめる作業は自分の能力をはるかに超えていたのかもしれないが、「そのときどきに」(03:48)
論文発表に向け、全力で取り組んできたことを語ったが、「そのときどきに」
(mp3)
の裏では、
【言いにくいところ】
(mp3)
というRSが含まれていた。
〓分析コメント〓
論文に不備が生じてしまったことに対して、何とか理解を求めようとした際の苦しいところが窺われるが、何か正直に言えない部分もあるのかもしれない。
〇小保方氏は、様々な落ち度がありながらも、STAP細胞がいつか誰かの役に立つと信じ、研究を続けてきたと発言したが、
「いつかの誰か」(04:36)
(mp3)
の裏では、
【私が悔しい】
(mp3)
というRSを発していた。
〓分析コメント〓
自分のこれまでの努力が報われず、むしろ研究を後退させてしまったことに対して、素直にその気持ちを表していたものと推察される。
〇小保方氏は、論文に不備があっても研究の結果に影響はないことを強調。
「何よりも実験は確実に行われており」(05:12)
(mp3)
という発言の裏では、
【今、これからでもそれについて(発表シテイキ)】
(mp3)
というRSを発していた。
〓分析コメント〓
RS最後の「発表シテイキ」は、音声が不明瞭なところで、他にもっと適切な言葉が存在するかもしれない。
論文の不備によりSTAP細胞の存在までも疑われる事態になったことに対し、証拠となるような実験データをすぐにでも公表していきたいという意識が現れたものと思われる。
以下は、質疑応答の後半で現れたRSである。
〇日ごろ、先輩研究者から後輩研究者への助言等、研究者間での交流によって改善の余地はなかったのかどうか質問を受けた小保方氏は、
言葉の選択に悩んだあと、 「改善の余地があったかどうかわからない」(125:42)
(mp3)
という言葉を発したが、その裏では、
【ああ、もう、誰かが新聞に(ゲヤ)】
(mp3)
というRSが現れていた。
〓分析コメント〓
RS最後の部分は不明瞭で、あえて書けば、「ゲヤ」と聞こえる部分である。
小保方氏は、記者会見全体を通して、説得力ある説明はできなかったものの、極めて慎重に言葉を選び、質問に対しては無難な言葉づかいで乗り切ってきていた。
だが、自分の発言や行動がマスコミに注目され、体調も崩している状況において、不用意な発言を行うと、何か新聞に書かれるという意識でも働いたのかもしれない。
〇それまで理研関係者以外にSTAP細胞の作製に成功した人はいないと思われていたが、質疑応答が進む中、
小保方氏は注目すべきことに外部の人間が成功していると述べた。
誰が成功したのか、個人名を出すことはなかったが、もし再現に成功した人がいるのであれば、そんな人の証言を積極的に出していけば、
少なくともSTAP細胞が存在することを示す有力な証拠となりうるはずである。
小保方氏は、そんなことを指摘した質問者に対して、意外にも素直に「なるほど」と頷いている。その質問者は決して特別なことを指摘したわけではない。
誰もが考えることを指摘したに過ぎない。だが、小保方氏はその質問者の言葉に感心したようで、最後に「ありがとうございます」というお礼まで付け加えている。
極めてシンプルな言葉ではあるが、その「ありがとうございます」(134:44)
(mp3)
を逆再生してみると、驚いたことに、
【それは、そうだった】
(mp3)
というRSが現れていた。
〓分析コメント〓
意外なことだが、このRSには、極めて実感がこもっており、心底そのように納得していることがわかる。
こんなことで感心するなと突っ込みを入れたくなるぐらいである。おそらく、論文をまとめるという行為は、途中経過を報告せねばならない面倒な事務的な作業であり、
論文の完成度を高める努力(振り返って整理する努力)よりも、とにかく実験をさらに進め、STAP現象が起こる最適条件を見つける(先に進む)ことにばかり
意識が向かっていたように思われる。
結論
記者会見全体を通じて、小保方氏の表での発言内容と裏での発言内容(RS)は基本的に一致しており、ウソを述べている傾向はみられない。
どうやら、ある分野では非常に優秀な人物が、他の面では非常に注意力が欠けていたり、常識が通じないといった、
いわゆる「天然」あるいは「紙一重」の傾向が小保方氏からはみられるようで、本人の過失が多くの反感や誤解を生みだしたようである。
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