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○橋下大阪市長 八尾空港でのオスプレイ訓練を提言した真意とは?
2013年6月3日、橋下大阪市長は、これまで懸案となってきた、沖縄の基地負担軽減問題に応えるべく、
突飛な発想だが、大阪府の八尾空港をオスプレイの訓練の場として提供する考えがあることを表明した。
基地自体の移転は難しい問題ではあるが、オスプレイの訓練の場として、せめて何日か引き受けることが可能かどうか、
政府に検討してもらおうとしたものである。
だが、八尾空港は市街地にあり、滑走路も短い。
事故の多いオスプレイの訓練を受け入れるには、素人が考えても、不適切な場所と思われた。
そればかりか、橋下市長は事前に八尾空港のある八尾市長に相談・報告することなく、
突然、この提言を行ったため、大きな物議をかもした。
これには、日本維新の会の支持率が低迷していた背景から、夏の参議院選挙を前にして、
話題を集めるパフォーマンスなのではないかとも揶揄された。
記者会見において、橋下市長はある記者から、「選挙に有利になるとはとても思えないアレなんですけど、この時期にここでこうゆう風なことを今日することって、何か時期的な狙いってのはあるんですか?」と質問された。
これに対して、橋下市長は次のように答えた。
「いや、ないですよ。あの、それは、(政党)そうぞうの皆さんと協定を結んで、
話がある程度方向性が決まったから、提言するということですよ。
だから、辺野古移設ってことをお願いしたんでね、こちらの方が。
そしたら、あの、オスプレイの訓練の日数を少しぐらい引き受けるなんてのは、
そのぐらいやらないと、辺野古を沖縄の方にお願いした訳ですから、
まあ、その中で八尾空港っていうものを、まあ、いろいろとみんなで話している中で、
あの何ルートっていう、色がついてる、何ルートか忘れましたけども…(以下略)」
実は、この問答には、多くのリバース・スピーチが含まれていた。
以下の音声のように、まず、記者が「時期的な狙いってのはあるんですか?」と質問した直後、
橋下市長は「いや、ないですよ」ときっぱり否定した。
(mp3)
だが、この二人の言葉を逆再生してみると、裏では、記者は【なぁ〜んで、いきなり】という
率直な疑問をリバース・スピーチとして発し、橋下市長は、意外なことに、【そりゃ、ある】
と全く逆の本音をリバース・スピーチとして発していたのだ。(音声では橋本市長の声が先、記者が後)
(mp3)
このことから、橋下市長は、誤算があった可能性が見えるが、参議院選挙を意識して、
沖縄の基地負担問題を大阪(八尾空港)でも共有する用意があるという姿勢を
示したかったことが窺われる。
続いて、「方向性が決まったから、提言する」
(mp3) の裏では
【ついに、腹が立ったので】
(mp3) というリバース・スピーチも現れていた。
橋下市長は、大阪以外に基地負担問題を共有しようと名乗り出るところがないことに腹を立てていたのだろうか?
「そしたら」の裏では【ならぁ〜】、
「辺野古を沖縄の方に」の裏では【置き場もないし、どこでぇ〜】
に近い発音のリバース・スピーチも見つかっている。
他にも、「八尾空港」
(mp3) の裏では
【僕は今】
(mp3)、
「話している中で」
(mp3) の裏では
【みなさんおっしゃる】
(mp3)、
「あの何ルート」
(mp3) の裏では
【ルール違反の中で】
(mp3)といった具合に、
ごく短時間の発言の中でリバース・スピーチのオンパレードである。
因みに、最後の【ルール違反の中で】だが、現在のオスプレイの飛行訓練が
事前に取り決められたルールに則って行われていないことを示唆するのだろうか?
いずれにしても、これらの一連のリバース・スピーチは、
個々の表音依存度を検証するレベルではなく、全部ひっくるめて、
強い感情を伴った意志が無意識に反映した、自立型の典型例と言えるだろう。
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