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バイオ・アコースティックス 学研「ムー」2001年10月号掲載(一部改定) |
バイオ・アコースティックスとは
バイオ・アコースティックスとは何か? 簡単に説明すると、人の声を録音し、特殊なソフトウェアを使ってコンピューター分析することで、その人の健康状態を割りだし、低周波音を患者に聞かせることで治療を行う技術である。
健康な人の声を分析すれば、ほぼ水平で滑らかな波形がグラフに現れるが、病気や怪我をしている人の場合には、乱れた波形がグラフに現れる。そして、その乱れた個所を調べることで、その人がどのような病気や怪我をしているのか具体的に割りだすことができるとされる。病気の診断に、相手の顔色を見たり、症状を聞いたりする必要もなければ、レントゲン写真、血液検査、尿検査なども必要ない。
病気や怪我の診断ばかりではない。声から取りだされた波形の乱れを滑らかに戻す低周波音を見つけだし、その音をヘッドフォンで患者に聞かせることで治療も行えるのである。
たとえば、症状を軽くする低周波音がコンピューター分析で見つけだされた場合、その低周波音をヘッドフォンで聞きながら、再度、声の録音を行ってみる。グラフに現れた波形を見てみると、その低周波音を聞く前よりも滑らかな波形に改善する。つまり、その低周波音を聞きつづけることで、症状が改善することを患者はビジュアルに確認できてしまうというのだ。
いったいそんなことがありうるのだろうか? これまでにバイオ・アコースティックスによる治療で効果が報告されているものとして、関節炎、気腫、高血圧、知恵遅れ、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、骨形成過多症、環境アレルギー、ダウン症などがある。特に、スポーツや交通事故などによる怪我の回復にはめざましい効果があがっている。
バイオ・アコースティックスの原理に詳しい腫瘍(癌)学者テレンス・バグノ博士とチャールストン代替医療センターのジョナサン・マーフィー博士は、深刻な痛風に苦しむ患者にある特定の低周波音を聞かせることで、ものの数分で痛みと炎症が和らぐ事実を確認している。
他方で、一般内科の扱う各種病気にも効果があがっており、ほぼすべての病気と怪我にバイオ・アコースティックスは有効と考えられている。
もしこれが事実とすると、バイオ・アコースティックスとはなんとも驚くべき最新技術といえることになる。
発見までの経緯
バイオ・アコースティックスは、今から25年ほど前にアメリカのシャリー・エドワーズ氏によって開発され、現在ではオハイオ州ホッキング大学で学ぶこともできる。音を利用した療法はいくつも存在するが、大学で単位が認定されているのはバイオ・アコースティックスだけであり、正当医学として認知されるのも時間の問題と考えられている。
ちなみに、これまでに3000人以上の人々がバイオ・アコースティックスを学び、世界7か国で約1200人が診断・治療を行っている。
そもそもエドワーズ氏がバイオ・アコースティックスを発見した背景には、偶然、自身の持つ特殊な能力が発見されたことがある。ある日、彼女が記事をタイプしていたとき、奇妙な音を耳にした。聴覚検査を受けてみたところ、彼女には普通の人には聞くことのできない範囲の音まで認識できることがわかったのだ。
エドワーズ氏によると、話をしている人の側にいると、普通の人が聞く音(声)以外の音も聞こえてきて、その音を自分で発してみることができる。
ライト・パターソン空軍基地を含め、彼女の能力は様々な機関で調査され、普通の人には聞くことのできない音が人の側頭部から聞こえてくることが判った。
人の耳が音を発するとは考えがたい。しかし、ジョンズ・ホプキンス大学のウェンデル・ブラウン氏は、人の耳には音を発する能力があることを発表して、エドワーズ氏の主張が正しかったことが判明。さらに、エンバイアメンタル・アコースティックスのジェームズ・コーワン氏は、人の耳はヘ音(F)からイ音(A)まで発することができると主張している。
但し、エドワーズ氏によれば、数オクターブに及ぶ全音域が聞こえるとのことで、今後、人の耳が発する音が広範囲に及ぶことが判ってくる可能性がある。
さらに驚くべきことは、エドワーズ氏は純粋な正弦波を発する能力すら持っていることである。また、本来、聞こえてくるべき音が出ていない人に対して、聞こえなかった音を出して聞かせると、その人の健康状態が改善することを発見したのだ。
長年の研究・実験の末、エドワーズ氏が聞き発することのできる音と同一の音を機械で複製可能となり、怪我や病気で苦しむ人々に次々と奇跡的な変化をもたらすことになっていった。エドワーズ氏は「これは医療技術ではないが、医学的な可能性を持ち、人の健康に影響を与える」という。
バイオ・アコースティックスのメカニズム
エドワーズ氏の説明によると、バイオ・アコースティックスは、音楽療法とバイオフィードバックとの中間にあたる。音楽療法のような音楽的な音の構成はないが、特定の音のコンビネーションが使われる。
また、バイオフィードバックが特定の生物学的・感情的反応を引きだすために低周波音を利用するところと若干の類似性がある。バイオ・アコースティックスでは、ボイス・スペクトル分析を利用して、体内で行き交う定常的で複雑な周波数を特定、解釈しようとする。
バイオ・アコースティックスの理解には、「波動」が鍵となる。人間の脳が認識・生成する波動(脳波)は、神経経路を通じて体内に伝わっていく。伝達される波動は、人体の構造的な完全性と感情・精神の安定性を維持するための指令と想像される。
つまり、人体を維持するために送られる信号(波動)を声を媒体に分析し、異常のある場合には波動を安定させるように修正するという仮説に基づいている。
熱、色、音は明らかに波動の所産であるが、万物は波動により特徴づけられているといっても過言ではない。なぜなら、万物は原子によって構成されており、原子はたえず振動する電子を抱え込んでいる。原子レベルの波動、脳波レベルの波動、体温などの熱による波動など、人間の体はさまざまな波動が入り混じっている。健康な人間からは、秩序だった波動が発せられているという仮説を立てること自体、そう突飛な発想ではないだろう。
そのように考えてみれば、人間の声ほど簡単に波動を検出できる媒体はないかもしれない。しかも、信号の検出量がわずかなものは誤差が大きく、分析に困難を伴うが、声は通常の録音機材で簡単に適切なレベルで録音可能な媒体である。
人の脳波の周波数帯域は0-60Hz程度といわれる[例:θ波(4-8Hz)、α波(8-13Hz)、β波(13-30Hz)]。通常の生活で耳にする音の周波数はその範囲よりもはるかに高いもので、それほど人体に影響を与えるものではないと考えられている。実際、平均的なオーディオ機器が録音・再生可能な周波数域はCD、MDで20Hz以上、カセットテープで50Hz以上である。そのため、日ごろわれわれはあまり低周波音を浴びていない。
もし脳波と同程度、あるいはそれ以下の周波数の音を偏って浴びるとどうなるか? その答えは、脳波に干渉して人体に悪影響を与える可能性があるといえるかもしれない。しかし、うまく利用すれば、逆に健康改善にも強力な武器となるだろう。
バイオ・アコースティックスでは、14-60Hz(ピーク16-32Hz)の低周波音を健康改善の武器として使おうとする。つまり、声の分析により波動のバランスを診断し、それを整えるために低周波音を利用する。
これを説明するために、美術の教科書に登場する色相環を思いだしていただきたい。対角線上にあるふたつの色は補色と呼ばれて、混ぜ合わせれば互いの色を打ち消し、無彩色となる。音に関しても同様に1オクターブの環を作ると、対角線上の2音の波動は、合成すれば互いを打ち消し中和される。
一部の低周波音は、そのような原理を利用して、ボイス・スペクトル分析で発見された波動のアンバランス(偏り)を調整する。たとえば、ある波動が強く出ている場合、それを中和させるような低周波音を対角線にあたる領域から見つけだし、患者に聞かせる。逆に、弱まっている場合は、その波動を患者に聞かせて高めるという具合だ。
ボイス・スペクトル分析
人体の波動が無秩序になって痛みやストレスが現れると、ボイス・スペクトルにも異常が現れる。コンピューターによるボイス・スペクトル分析を利用して、デシベル(dB)と周波数(Hz)がストレスの特定に使われる。
縦軸がデシベルで、横軸が周波数である。グラフが高く振れているポイントは、音量が大きく盛り上がる音(声)の周波数である。また、グラフが低く落ち込んだポイントは、明確でない音(声)の周波数である。音(声)が、より小さく統合されたパターンの集積となっていることが望ましい。つまり、上下の振れが少ないほど、発する声に痛みやストレスなどの不安定要因が少ないことになる。
下のグラフは骨形成過多症(骨肥大症)に苦しむメリッサという女性のボイス・スペクトルである。彼女は、痛みの程度を軽度の1から重度の10までのスケールにして、それを大幅に超える13という極度の痛みを訴えていた。頭蓋骨の中で過度のカルシウム形成が行われており、激しい頭痛に悩まされていた。グラフのピークとなるポイントは、過度の刺激が及んだ音(声)の周波数を指している。
ピークのポイントを分析することにより生み出された低周波音を、4分間メリッサに聞かせたところ、痛みのスケールは3に減少し、グラフも下のように滑らかに変化した。
欠如していたり、強すぎる周波数値が、症状を反転させるために利用される。繰り返し聞くことにより、体全体が反応するようになる。メリッサの場合、頭痛が消えたばかりか、ほかの症状もなくなった。新陳代謝や消化の異常もすべて通常の状態に戻った。
波動治療
今から10年ほど前、私は音という波動を利用して、ガンやエイズばかりか、原因不明の不治の病を治す機械が存在するという噂を聞いたことがある。実際、アメリカではそのような本も出版されており、私自身、もしものときに試してみるべく、その機械の設計図のコピーを友人を通じて入手したものだ。
しかし、幸いなことに深刻な病気になることもなく、その機械の効果と信憑性を追求することもなく、しばらく忘れていた(今ではどうなっているのか不明)。
ところが、2000年秋、書店で雑誌を読んでいたら、ある記事に釘づけになった。オハイオ州のホッキング大学では特定の低周波音を患者に聞かせることで、これまでの医学では治療できなかったさまざまな病気や怪我の回復に劇的な効果をあげているというのだ。もちろん、それがバイオ・アコースティックスのことであった。
それまで、音を利用した治療法はいくつか存在していたのだが、メカニズムが曖昧で、大学などの高等機関で研究される機会もあまりなく、私自身あまり関心を抱いてこなかった。しかし、バイオ・アコースティックスにはこれまでの療法にない具体性があった。そして、私が関心を寄せた最大の理由は、当時、私自身が原因不明の病気で苦しんでおり、類似した病気の治療例が紹介されていたからであった。
健康で居るために、自己が発する想念に関して気を付け、学んできたはずの自分としては、何とも恥かしい限りであるのだが、2000年夏、私は風邪を引き、喉の痛み、熱、鼻水、咳という典型的な症状が現れた。しかし、咳が止まらず、気管支炎に発展した。過去数年間で2、3度気管支炎を経験していたため、普通の人よりは呼吸器系が弱くなっていることを感じていたので、あまり驚くべきことではなかった。気長に抗生物質を服用すれば、1、2か月で治るものと思っていたのだ。
ところが、2か月経っても微熱、胸の痛み、胆が止まらなかった。胸部レントゲン写真を撮ってみても、特別問題は見つからなかった。さらに、尿検査、血液検査でも異常は見られなかった。代表的な抗生物質は試してみたが、あまり効果が上がらなかった。しかし、症状は入院を要するほど深刻なものではなく、なんとか日常生活を送ることができたこともあり、気がつくと、大きな改善もなく3か月以上が経っていた。
バイオ・アコースティックスを紹介した記事を読んだのはちょうどそのころであった。さっそく、私はバイオ・アコースティックスを一般に提供するサウンド・ヘルス社に連絡を取った(研究は非営利組織のサウンド・ヘルス・リサーチ・インスティテュートが、教育はサウンド・ヘルス・オルタナティブ社が行う)。以下は、私の体験レポートである。
バイオ・アコースティックスの体験
バイオ・アコースティックスによる診断・治療は、ライセンスを取得したプラクティショナーたちが全米各地で行う。私の自宅から最も近いところにオフィスを構えていたのは、バージニア州のパム・フレッチャー氏であり、私は彼女に診てもらうことになった。
まず、被験者は40秒間マイクに向かって何かを話すよう求められる。私の場合、最初に英語で話した声を録音し、次に日本語で録音した。
フレッチャー氏にとって、英語を母国語としない被験者を診ることは初めてであり、まずは違いを確認すべく両方で試してみた。録音してすぐに私は特殊なソフトウェアで処理されたグラフを見せられた。英語で話したときと日本語で話したときとの違いはほとんどなかった。
しかし、残念ながら、私の健康状態は決していいとはいえない状態を示すグラフであった。
健康な人のグラフはメリッサの2番目のグラフのように、上下の振れが小さいものであるからだ。
2時間程度費やして、分析を終えたフレッチャー氏が私に見せたレポートは15ページにも及ぶものであった。
正直、どうしてこれだけのデータが出るのか驚かずにはいられなかった。
たとえば、過去3か月間、私はさまざまな抗生物質を服用していたため、そのデータからは、抗生物質の副作用で善玉菌までもほとんどなくなっていたことがわかった。消化時の酸素処理に異常があり、酵素生成の不足も露呈した。さらに、体内で不足していた栄養素が数字でぎっしりと表されていた。
また、グラフの特定箇所の波形を調べることで、バクテリアや寄生虫、カビなどによる感染があるかどうか判明するが、私の場合、肺に感染が見られ、バクテリアとカビによる同時感染が疑われる異型肺炎と似た周波数が検出された。
それで、次に行ったことは、自分の症状を癒すための低周波音を見つけだすことである。これは多少根気のいるもので、データをもとに有効と思われるいくつかの音を30秒ぐらいずつ聞いては、自分にとってどれが最も心地よく聞こえるか選んでいく作業である。その間、フレッチャー氏は、私の血圧、体温、酸素飽和度、心拍数の変化を追って、私の体が心地よく反応しているかどうか確認していく。
最初はとまどったが、最終的には、ノイズが少なく穏やかに感じられる音がその人に合っているようであった。30分ほどを要して、なんとか自分に合う音を選ぶことができた。
ちなみに、選ばれた音はだれが聞いても同じ音に聞こえるわけではない。病気の私にとっては心地よい音であっても、健康な者にはノイズとして聞こえる。そのため、その音を聞きつづけ、症状が改善すれば、いずれは聞き苦しいノイズと感じられるようになるという。
とはいえ、自分に合った音が見つかると、フレッチャー氏は再度英語と日本語で声を録音したいといってきた。私は質問せざるをえなかった。すでに録音して自分に合う音を見つけたところなのに、どうしてまた録音する必要があるのかと。
驚いたことに、たとえ30秒程度の音をいくらか聞いただけでも、すぐにも効果が出て、グラフに変化が現れるからだというのだ。私は半信半疑で再度、英語と日本語で声を録音してもらった。
すると、確かに興味深い変化がグラフに現れていたのだ。まず、英語で録音したグラフでは、波形は大きく改善されていた。しかし、日本語で話したグラフでは改善は少しであった。
そこで、バイリンガルの被験者に対しては母国語を利用すべきことをフレッチャー氏は悟った。つまり、より悪く現れるグラフが改善されることが重要と思われるからである。
今度はさらに興味深い検査を行ってみることにした。私が選んだ音をヘッドフォンで聞きながら、母国語である日本語で再度声を録音してグラフを調べてみることであった。結果は驚くべきものであった。完全とはいえないが、 以下ののようにグラフは改善されていたのである。
抗生物質アジスロマイシンと同等の低周波音を聞いた時のグラフ
バランスを整える(無害の)低周波音を聞いた時のグラフ
その後の回復
私は薬ともいえる低周波音が録音された機械とヘッドフォンをレンタルして定期的に聞くことになった。与えられた低周波音は3種類あった。
一つは体のバランスを整える音であり、これは免疫システムを高める音である。そのため、これは直接バクテリアを殺せる音ではない。二つ目は、アジスロマイシンという抗生物質と同等の周波数の音である。そして、3つ目は、感染が疑われるカビの持つ周波数と逆波形の低周波音であった。
信じがたいことに、物理的に特定の薬を服用することと、その薬と同じ波動の低周波音を聞くことは同じことであるという。そのため、一日に何度も聞きすぎれば、その薬を過剰に服用したのと同じ副作用が現れるため、特に最初の免疫を高める音以外は、3分程度の音を一日に3回まで、計30分以上は聞かないよう強く忠告された。
低周波音を聞きはじめて2週間程度で、私の症状は軽くなり、だいぶ楽になった。 ただ、その後は停滞気味で、完全に回復したとはいえない状態がしばらく続いた。音はまだ心地よいものであったため、根気よく聞きつづけ、最終的には数か月を要して私の病気は癒されていった。
私の場合、骨形成過多症のメリッサのケースとは異なり、複数の要因から現れた症状であり、ひとつの低周波音で完全に回復させられるものではなかった。そのため、グラフが改善する低周波音を複数聞くことで治療が行われた。グラフがメリッサのように大幅に改善していないのはそれゆえである。
ただ、私のケースのように長期化してしまった病気の場合、バイオ・アコースティックスのおかげで回復したものなのかは判別しがたい。私自身の治癒力で回復したといえなくもないからだ。
しかし、興味深かったこととして、体調がよくなるにつれて、それまで心地よく聞こえていた低周波音がノイズに変化していったことは忘れずに指摘しておきたい。
バイオ・アコースティックスの解釈
バイオ・アコースティックスを実際に体験して、どのようにこの現象を解釈すべきか考えてみた。
おそらく、エドワーズ氏がいうように、コンピューターが患者固有の波動を声という媒体を通じて検出・分析していることは間違いないだろう。
体の器官のどこかに異常があれば、本来あるべき波動を乱す波形が現れる。それが、特定周波数における声の乱れ(デシベル値)として現れる。その乱れが、データベースからある特定の病気であるとすぐに判別できる場合は、その病気に対して治療効果の高い低周波音が患者に与えられる。多くの場合は、すでに医師たちが患者に与えている薬と同等の波動を持つ低周波音である。
しかし、データベースから、病名や感染源の特定がむずかしいケースでも、症状を改善させる低周波音を見つけだすことは可能である。多くの場合、波形の乱れを中和するような逆波形の低周波音を試しに患者に聞かせてみる。症状を改善しない低周波音の場合は、聞いた際に不快感を得るため、それが有効かどうかはすぐに判断できる。
実際に、私に与えられた3つ目の低周波音は、あるカビが持つ周波数と逆波形のもので、心地よく感じられたため聞きつづけることにしたが、その音と同等の効果を与える薬は医学の世界では存在していない。そのようなところから、バイオ・アコースティックスは、治療法の確立されていない病気の治療に効果をあげているのだ。
ただ、バイオ・アコースティックスの研究は発展途上であり、まだ詳細には解明されていない。たとえば、根本的な問題として、どうして人が怪我や病気になると、ある特定の周波数における声の音量(デシベル値)が乱れるのか? 人の発声のメカニズムは、顎周辺の頭蓋骨の形状や喉の調子など、物理的な状況で決まるものではないのか? 関連してさらなる研究が必要となるだろう。
また、通常抗生物質がある病原菌を殺すためには、有効治療濃度以上の抗生物質を数時間毎にある期間継続的に服用する必要がある。しかし、その抗生物質と同様の効果をもたらす低周波音が、有効治療濃度と同等、又は上回る効力が無いと、耐性菌を発生させる可能性があるかもしれない。具体的には、ある抗生物質の音を何分間聞くことが、何グラムの抗生物質を物理的に服用することと同等な効果を与えるのか正確には解明されていない。
個人的に体験した印象では、物理的に薬を服用することと比べて、効果は弱い(有効治療濃度に達していない?)ように感じられた。誤って利用すると危険ではあるが、もう少し低い周波の音(10Hz以下)を利用すれば、さらに効果が早期に現れるのではないかと私には思えた。
バイオ・アコースティックスは、アメリカを中心に普及しつつあるが、現在のところ、医療行為として認められておらず、保険でカバーされないケースが多い。また、手術後の回復を早めたり、慢性的な病気の改善には効果があるだろうが、早急な処置を求められる病気や怪我に対しては、バイオ・アコースティックスは適さないだろう。
ただ、治療法の確立されていない怪我や病気治療に効果をあげており、副作用を最小限に食い止められる利点があるといえそうで、これまでの西洋医学の常識を覆す技術であることは間違いないだろう。
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