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被曝対策としての粘土食
2011年3月30日 改定版を『ムー』2011年6月号に掲載
○意外な粘土食効果
筆者は前回、『身体を浄化する驚異の粘土食』と題して、古来より人類は土食を実践し、それを大いに健康に役立ててきたことをレポートした。その際、カルシウム・モンモリロナイトと呼ばれるカリフォルニア産の粘土が、NASAの宇宙飛行士のためにサプリメントとして与えられた経緯に触れた。
宇宙空間での滞在が増えるほど、宇宙飛行士は地上に居る時よりもカルシウムをはじめとしたミネラルを多く失ってしまう。その結果、体に現れる不調の一つが、骨粗鬆症である。地上に帰還した多くの宇宙飛行士たちが、まず自らの体を支えることに困難を覚えるのは、長時間重力を体験しなかったためだけではないのだ。物理的に、骨密度が低下してしまっているのである。
宇宙空間にいると、食事で摂取したミネラルが、地上に居る時のように正常に吸収されず、多くが尿として排泄されてしまう。そこでNASAは、宇宙飛行士のために効率的なカルシウム補給法を探る研究を行ったところ、通常のサプリメントではなく、ミネラルが豊富に含まれる粘土を摂取することが最も効果的であるという驚くべき結果を得たのだった。
NASAが選んだカルシウム・モンモリロナイトは、ロッキー山脈からの雪解け水がコロラド川となって押し流してきた粘土で、粘土鉱物モンモリロナイトを主成分に、カルシウムが多く含まれたものである。下流のデルタに堆積した粘土は、すぐに生物が体内に取り込めるコロイド・イオン状の微粒子で構成されている。その粘土には、なんと50種類以上ものミネラルと微量元素が豊富に含まれていたため、その地域では植物がよく育ち、動物たちが土を食べに集まり、先住民も健康維持のために粘土を食してきたのだった。
コロイド・イオン状の粘土粒子は、表面がマイナスに帯電していて、プラス帯電した有害物質を吸着する。また、単位重量あたりの表面積が膨大になるため、水分を含むと大きく膨張して、吸収効果を発揮する。そのため、有害物質の吸着・吸収作用には定評があり、欧米では最良のデトックス剤の一つとしてもてはやされている。さらに、粘土自体に50種類以上ものミネラルと微量元素が含まれるため、摂取によりミネラルという栄養素を補給しえるサプリメントにもなるのだ。
そこで、NASAは、このような魔法の粘土、カルシウム・モンモリロナイトに注目して、その効果の確認後、宇宙飛行士に与えるに至ったのだった。

○原発事故と被曝対策
去る3月11日、東日本をM9.0の巨大地震が襲い、(3月下旬現在の予想では)死者・行方不明者が4万人を超えると思われる未曾有の大惨事が起こった。宮城県栗原市で最大震度7を記録した地震の揺れ自体による被害もさることながら、高さ20メートルに迫る津波による被害は甚大で、犠牲者の多くは津波によるものだった。だが、被災地だけでなく、多くの日本国民を恐怖に陥(おとしい)れたのは、損傷を受けた福島第一原発からの放射能漏れだ。本稿執筆時点でも、それは続いており、現場近くの福島県民だけでなく、近県の多くの人々が避難し、いつ終息するのかと人々は被曝に不安を抱きながら過ごしている。
なぜなら、チェルノブイリ原発事故で明らかとなったように、例えば、放射性ヨウ素131を原因とする小児甲状腺ガン発生率は、5年目から急増し、事故から10年以上経過して成人となった女性に妊娠障害が発生するなど、最初の数年間ではまったく気付かないという怖さがあるからだ。日本政府も、そのような過去の事例を参考に、「ただちに健康に影響がない」という表現で直近の危険に注意を向けさせるのではなく、様々なルートによる被曝が複合的に蓄積される現実と、潜在的に起こり得る将来の危険を見越し、不必要と思えるぐらい国民の健康に配慮して、避難や対策を具体的に指示すべきだったと感じられたのは筆者だけではあるまい。
では、いったい我々はどのようにして放射能による被曝から逃れられるのだろうか? そして、もし被曝したとしたら、どのような対策を取れば良いのだろうか?
もちろん、放射性物質に接触しないようにするというのが一番である。原発で復旧活動にあたる作業員のように、よっぽどの近距離にいない限りは、建物内に留まることである程度避けられ、外出時には、マスクや帽子を着用して、すぐに拭いたり払い落とせるような上着を着ておくことが効果的である。また、放射能の影響を受けていない食品を選び、野菜などはよく水洗いすることも大切だ。
だが、そうはいうものの、気付かぬうちに、既に放射性物質を吸い込んでいたり、食べ物を通じて、摂取してしまっているケースも頭のどこかに入れておかねばならない。
そこで、放射性物質の特徴を簡単に整理して、具体的に原発現場作業員はどのような対策を講じたのか、参考のため知っておく必要があるだろう。
放射性物質には、燃料となるウランやプルトニウムの他、放射性ヨウ素131(8日)、セシウム137(30年)、ストロンチウム90(29年)などがある。カッコ内は、半減期と呼ばれる時間で、それだけの時間が経過すると、これらの放射性物質が発する放射線量が半分に減る。減り方は指数関数的で、最終的には放射性を持たない同位体だけが残る。
人間のような生物が放射性物質を吸い込んだり、食べ物として体内に取り込んだ内部被曝の場合、その半減期は生物学的半減期と呼ばれて、基本的には新陳代謝の結果として短くなる。だが、その間、遮断するものは何もなく被曝し続けることになり、例えば、ストロンチウム90は骨の中のカルシウムと置き換わって沈着してしまう傾向が見られ、特に危険な物質である。

○安定ヨウ素剤は放射能除去剤になるのか?
だが、今回の原発事故で主に問題視されたのは、放射性ヨウ素131である。そのため、原発で復旧活動にあたる作業員のために「ヨウ素(I127=安定ヨウ素)」が準備されたことを多くの読者は耳にしているものと思う。
ヨウ素とはハロゲン元素の一つで、体内で甲状腺ホルモンを合成するのに必要な必須元素である。ヨウ素(I127=安定ヨウ素)が不足すると、甲状腺ホルモンが十分につくれなくなり、体に不調をきたす。また、放射性のヨウ素(I131)に被曝すると、甲状腺に蓄積して甲状腺ガンを誘発する可能性があるため、放射性でないヨウ素を大量摂取することで、あらかじめ甲状腺をヨウ素で飽和させる防護策が必要となる。そこで注目されたのが、安定ヨウ素剤だった。
あらためてこんな説明を聞くと、「ヨウ素は放射能除去剤ではなかったの?」と拍子抜けしたり、なおもよく分からないと感じる読者もおられるかもしれない。
分かりやすく説明する。放射性ヨウ素の被曝が原因で人が陥る問題点は、身体機能が低下して、本来であれば、支障なく吸収できるはずの必須元素(ヨウ素)の吸収が阻害されてしまうことだ。そこで、それに対して、ヨウ素の吸収が阻害されても支障をきたさないように、あらかじめ多めに安定ヨウ素を摂取しておけば、その後に、放射性ヨウ素に触れても、ヨウ素欠乏にならずに済むという理論で予防的に使われるのが安定ヨウ素剤なのだ。因みに、被曝後に摂取しても、やや落ちるものの、効果は現れる。
残念ながら、『宇宙船艦ヤマト』に出てくるような「放射能除去装置」を我々は入手できていない。海外では、放射能対策のワクチン開発も進んでいるという話も聞くが、現在、我々が利用しているものは、魔法のように放射線の放出を止めたり消してしまうものではなく、放射能によって吸収が阻害される栄養を、いわばサプリメントとして補う程度のことなのだ(除染することは可能で、特に内部被曝に対するものはのちに触れる)。

○被曝対応天然サプリメントは60年代に発見されていた!?
そのような事実を知ると、実は、NASAの宇宙飛行士が宇宙空間においてミネラル不足に陥った経験が、非常に参考になる。地上においては、正常に補給できるはずのミネラルが、宇宙空間ではそうはいかなくなる。なぜなのだろうか? 
宇宙飛行士は、地上における食事と同様に、宇宙空間においても食事を行う。その食事は栄養学の専門家によって考えられたメニューに基づいている。また、宇宙ステーションのような場においては、狭い空間とは言え、日々いくらか運動を行うように心掛けている。それでも、宇宙飛行士らは骨粗鬆症に陥る。
一般的に、骨粗鬆症を進行させる大きな原因として、不適切な食事と運動不足が挙げられるが、一見、宇宙飛行士らはそれらをクリアしているように思われる。もちろん、重力の有無はいくらか影響している。宇宙空間において運動を行ったとしても、重力の負荷を受けていないため、骨の維持には不十分と言える面もあるだろう。だが、2・3ヶ月入院していた患者が、起き上がった際に歩行困難を体験しても、宇宙空間での滞在ほど、骨密度を失う訳ではない。
その差はどこにあるのだろうか? それこそ、放射線による被曝が影響していると考えられるのだ。
実は、宇宙飛行士は、様々な宇宙線(中性子)に被曝している現実がある。地上の我々は地球を包み込む大気によって守られているが、宇宙飛行士は無防備である。宇宙線は、スペース・シャトルのような機体を貫通し、人体に到達する。そのような環境に居ることが、身体の機能を損ね、ミネラル吸収を阻害しているとも言えるのだ。
そう考えると、原発現場の作業員に安定ヨウ素剤を与えるのと同じ理屈が成り立ち、NASAは宇宙飛行士の被曝対策に粘土をサプリメントとして与えたと言い換えることができるのだ。
−放射線に曝されると、必須元素であるヨウ素の吸収が阻害されるために、安定ヨウ素剤が必要とされる。
−放射線に曝されると、必須元素であるカルシウムの吸収が阻害されるために、カルシウム・モンモリロナイトが必要とされる。

つまり、1960年代前半、NASAは自覚できていたのかどうかは不明ではあるが、放射線被曝対策に食用可能なカルシウム・モンモリロナイトを見出していたと言える。

○食用粘土の利点
それでは、可能な除染に関して触れることにする。内部被曝した際、体内に残留した放射性物質は速やかに排泄されねばならない。汚染された水道水の浄化のために、活性炭の効果も注目された。というのも、活性炭は多孔質の物質で、その微細な穴(細孔)に多くの物質を吸着させる性質があるからだ。放射性物質が付着したものをそれがいくらか取り除いてくれると考えられている。
では、そのような性質を利用すれば良いと言えそうだが、モンモリロナイトには活性炭のような性質は持ち合わせているのだろうか? 
実は、モンモリロナイトは吸着性と吸収性の双方に優れた粘土であることが分かっている。モンモリロナイト粒子は強くマイナス電荷を帯びた珪酸塩(薄く平たい結晶)コロイドを形成している一方で、人体にとって有害な毒素の多くがプラスに帯電しているため、それが安定的な吸着効果を促す。
また、吸収性に関しては、次のような例で明解と言えるだろう。1辺が1cmの立方体の表面積は6平方センチメートルだが、1gのモンモリロナイトの表面積は60平方メートルにも及ぶ。そのため、粘土粒子が濡れると、水分を周囲の不純物とともに大量に「吸収」し、大きく膨張していく。モンモリロナイト(スメクタイト)の吸収性は、イライトやカオリン、ゼオライトのような他の粘土よりも高いことが分かっている。
そのため、モンモリロナイトを経口摂取することで、体内の有害物質を吸着・吸収して、摂取した粘土粒子ごと排泄されると考えられている(食物に含まれる栄養分も吸収してしまう可能性があるため、食間の摂取が望ましい)。だが、これは、あくまでも吸着・吸収して排泄するという面だけのことである。
さらに、モンモリロナイトには、安定ヨウ素剤のメカニズムのように、必須元素の欠乏を補う作用があり、50種類以上ものミネラルと微量元素を補給しえる。
これまでのところ、原発事故によってストロンチウム90が飛散しているとは耳にしていないが、原発現場でベータ線熱傷を受けた作業員は被曝していた可能性は考えられる。放射性のヨウ素やセシウムと比較すると、発生量は少ないが、厄介な物質である。だが、経口摂取による対策がない訳ではない。
概して、被曝対策にはミネラルと微量元素の摂取が重要であり、不足しているほど被曝の影響は深刻になると言われている。例えば、『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』誌では、カルシウムやマグネシウムが前がん性細胞を抑制し、ストロンチウム90他、他の放射性同位体の影響を抑えられうると報告している。もちろん、カルシウムのような効率的な吸収の難しい必須元素に対して、カルシウム・モンモリロナイトが有効だったことは、NASAが実証済みである。
また、微量元素のヨウ素は、海藻類に多く含まれるが、実は、カルシウム・モンモリロナイトにも、量は少ないものの、含まれているのだ。
このようなことから、カルシウム・モンモリロナイトは、一つで二役を果たすことが分かる。つまり、放射性物質を含めた有害物質の除去作用と、被曝によって不足するミネラル・微量元素の補給作用である。もちろん、高濃度の放射能汚染に対してまで即効性を示すようなデータはなく、あくまでも継続的な摂取によって、そのいくらかを補助する程度と思われる。だが、何か特別な薬剤を用意することなく、天然の健康食品(粘土)が放射能対策に応用し得るとしたら、それは注目に値する。
事実、ヨーロッパでは、こんな過去もある。

1980年夏、オーストリアの材木業者ルドルフ・シンデレ氏は、酸性雨の影響による森林枯死を岩粉が食い止め、再生させることを見出した。彼は、伐採樹木搬出用の道を作るために、山腹を削ったところ、偶然にも露になった片麻岩(変成岩)の粉末が風で飛んで、それが森林を甦らせることを発見したのだ。そして、それは森林だけでなく、様々な動植物が摂取しても有効なことが分かった。それには、たくさんのシリカ、アルミニウム、カリウム、鉄、マグネシウム他、数々の微量元素が含まれていて、人間の健康にも寄与することが分かったのだ。彼は、毎日茶さじ2杯ずつ飲むことで、健康を得るだけでなく、真っ白の白髪から黒髪が現れてくることも体験した。
 そして、この岩粉は、ウィーン大学によって放射能に対して有効なことが発見され、ウクライナのソ連原子物理学研究所によっても確認された。当時、ソ連はトラックを一台派遣して、彼の岩粉を2トン買い取った。偏向顕微鏡を使って分析した結果、分子と原子の格子が変化していることが明らかとなり、それが人体に入った電離放射能粒子にある影響を及ぼすことが判明したという。

筆者は、異なる産地の食用可能な粘土・岩粉等を摂取した経験がある。食した結果、その評判にもかかわらず、中には、気分を悪くして、体質的に合わないと感じられたものもある。粘土や岩石は、火山性のものが好ましいと考えられているが、安全に食用可能という条件さえ満たせば、成分よりも粒子サイズに依存するという説もある。そのため、日本の土壌と近く、個人の体質に合ったものを選んで、継続摂取するのが好ましいのかもしれない。
欧米では、食用粘土はポピュラーなデトックス剤として普及してきたにもかかわらず、日本国内では不思議とあまり普及していない。粘土食の利点は、ただ岩石化した粘土を微細粒子にほぐしただけという天然の産物で、他の平均的なサプリメントと比較すると、価格が圧倒的に安く、庶民でも気楽に継続摂取できることにある。危機を体験した日本において、今こそ、見直してみる機会なのではなかろうか。

【粘土購入に関するアドバイス】モンモリロナイトを代表とした粘土は、動物・ペット用、植物用、水質調整用など様々な目的で国内外で採掘されている。ヒトによる経口摂取を前提としない粘土には、薬品を投与して採掘が行われたり、成分が分析されていない場合もあるため、そのような商品を口にすることは危険である。粘土食を試してみたい読者は、必ず経口摂取を前提とした粘土商品をお求め頂きたい。
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